●埼玉県 上福岡市・大井町が県に合併申請(朝日新聞)
※経緯は「上福岡のほんの片隅で〜SummerTreeRoad」さんのブログや「海星ログ」さんのこのエントリーへ。●「白神」去ってまた「白神」 合併新町名の候補に(河北新報/Yahoo News)
※Yahoo News 地域トピックス - 白神名称問題●合併協議9時間、「全国最速」で調印 佐世保と小佐々町(朝日新聞)
●新市名「宮古市」を撤回−−沖縄・5市町村合併推進協 /岩手
第二の「宮古市」土壇場で幻に(岩手日報)
「宮古島市」に決定 岩手・宮古市長も歓迎(琉球新報)
もちろん、どれもこれも今月末が期限の合併特例債目当ての合併だ。
詳しくはエントリー「「合併特例債」は重病人に打つ麻薬にすぎない」に書いたが、国の膨大な借金返済のしわ寄せがガンガン地方に回っていく流れの中で、自主財源・税収不足で経営能力のない自治体は、取り合えず合併特例債で一息つくか、裕福なところに広域・吸収合併で救ってもらうか、それとも破綻するかの三者択一の状況のように見える。
もちろん、ニセコ町などのように、バイタリティあふれる町長がリードし、合併など見向きもせず、外資を導入したり、公共事業をどんどん株式会社化したりなどのアイディアで、独立独歩で稼げる経営を目指す市町村もある。だが、多くの自治体は、今まで地方交付税頼りの体質を変えない限りは、自立はおろか数年後の破綻を免れることはむずかしいであろう。
経営危機であれば、行政のコストダウンに励むのは当然だが、民間のように人をガンガン切るわけにも行かないし、いわゆる公務員的なお手盛り体質がそのままであればその効果はさほどは期待できない。
合併特例債は基本的に建設事業にしか使えないから、それは単に「公共事業のこれまで通り進められますよ自治体の皆さん」という、これまで公共事業だよりの自治体の人々にとっては美味しいおいしいアメ玉だ。しかしそれは、建設事業をするときに、その事業費の95%について起債でき、その7割を国が地方交付税でカバーしてくれると言うだけのものだ。つまり、実質は3割(+事業費の5%)を返済しなければならない、実質は借金である。それに、合併の特典である地方交付税が大幅削減される15年目から、その合併特例債の返済がピークになるから、財政上のリスクは大きい。
またこれは、せっかくの特例債だから使わないと損だ、という気にさせてしまうわけで、本当に必要な建設に使われるのならいいが、またぞろ無駄な公共設備を作ってしまい、結局維持管理コストとそこからの収益が見合わず赤字を垂れ流して財政に悪影響を与えることにもなりかねない。
つまり、合併特例債は、これまでのように、口を開けて親鳥(国)に餌をもらっているひな鳥のような自治体の体質を助長するものでしかない。瀕死の重病人なのに、その病巣の治療には成らない。痛みを和らげるどころか、効かない鎮痛剤のようなものだ。
合併が破談になった美浜町、南知多町は、今のままの町政では、ともに平成18年度の予算から、行政サービスのレベルダウンと住民に重い負担を求めた予算と財政運営になることだろう(平成17年度の予算は現在町議会で審議中)。町税などの増税もあれば、国からの税源移譲の中で、新しく法定外の課税項目なども出てくるかも知れない。
しかしそれらは、町のあり方や町づくりの手法と表裏一体でないと住民の反発をくらうことは明らかだ。単に苦しいから、合併を差し止めた住民に責任があるんだから、住民につけを回したい、では通らない。これまでのやり方とは違う、新しい施策が示せるかどうかだ。
三位一体改革でどんどん地方の権限が奪われていく中、数十万人規模の中核都市を造る広域合併は意味があると思う。もちろん、税収が安定していて不交付団体になっているような自治体でも自主財源の割合は減りつつあるし、行政のコストダウンを大胆に行ってその分行政サービスに活かし、大きな戦略で町づくりを行っていくためには有用な戦略だ。
今回、合併特例債狙いで小規模な合併をした自治体も、美浜町・南知多町のように破談になった自治体も、遠くない将来に、財政面でさらなる広域合併を目指さざるを得ない状況になるかも知れないが、それより一歩先んじて広域合併を模索することも一手だろう。
7日に、平成17年度の美浜町議会で齋藤宏一・美浜町長が施政方針で
『合併を進めてきたが、町民の皆さんに理解していただけなかったことに深い反省とお詫びを申し上げる』と述べたそうだ。10日以降、一般質問でその責任が追及されることになると思うが、果たして町民を納得させられる施策を示すことが出来るのだろうか。

この道を行けばどうなるものか
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