2005年02月08日

人々の声(4)

このカテゴリー「人々の声」では、「美浜町・南知多町合併問題」「新市名・南セントレア市」に関するブログエントリー(主にトラックバックを頂いたもの)や、掲示板などでいただいたコメントで、印象に残ったものを抜粋して紹介していきます。

このエントリーでは、美浜町出身の方から、美浜町・南知多町合併協議会に対して提出されたレターからの抜粋をご紹介します。

とても論理明快に、わかりやすく整理されていますので、ぜひお読み下さい。

(下線・強調は故郷は美浜@管理人が行いました。)
新市の名称を「南セントレア市」とするという報道を聞き、大きな衝撃と困惑、さらには怒りに似た感情を抱きました。以下、思うところを述べますので、御一読頂きたく存じます。

地名にはそこで生まれ育った人間の愛着があり、また対外的にも地域のイメージ付けに大変重要な役割があります。「美浜」「知多」という地名には、私自身強い愛着を持っております。新市の名称を考えることは、両町の合併という一大事業の中でも極めて重要な部分であることは、私などが申し上げるまでもなく御理解のことと存じます。にもかかわらず、「南セントレア市」という珍妙な名称をお選びになった齋藤様はじめ協議会の方々の見識を疑わざるを得ません。反対の理由は三つあります。
第一の理由として、決定にいたる経緯への疑問です。御会の協議第19号として、「(名称の)選定方法については、公募作品および委員(議長を含む)の作品の中から選定するものとする。」とあります。広く公募された名称案の結果を私も拝見いたしましたが、良い案が沢山あったと感じました。ところがそういった案を切り捨て、公募結果にはなく協議会で出された「南セントレア市」なる名称が採択されました。報道によると、協議会での投票で一位となった「南知多市」案を差し置いて「セントレア」「南セントレア」などの案を合算する形で「南セントレア市」案が採択された様に聞いております。この一連の手続きは、上記の協議内容に適っているものではありましょうが、応募者を愚弄したものと感じられます。公募は何のためだったのか、単なるセレモニーだったのか、と責められて当然です。

第二の理由ですが、中部国際空港「セントレア」は美浜町と南知多町にはなく、新市を象徴するものとしてははなはだ不適当です。いくら新空港への期待が大きいからといって、それを市の名称とするのは不自然です。これまでの歴史の中で育まれた人と文化、恵まれた自然環境、そして日々営まれる産業や活動といった中からこそ、新市の明るい未来を託せる名称を考案すべきでしょう。齋藤様はじめ協議会の皆様は、美浜町・南知多町は「空港の南にある地域だ」ということの他には価値や愛着をお感じではないのだろうか、という疑念を持ちます。
以下は例え話です。千葉県浦安市に「東京ディズニーランド」があります。知らぬもののない名所となっています。しかし、「世界にアピールする」「注目を集める」といった理由で、その北側に位置する市川市が「北ディズニーランド市」を名乗ったらどうでしょうか。また、野球の名門校が「イチロー学園」「ゴジラ高校」とでも改称したら、人々はどう見るでしょうか。どう考えても、世間の良い笑い者でしょう。「南セントレア市」なる名称案は、これと同じことです。御会の決定は、既に日本中の笑い者になっているということをどうか御承知おき下さい。

三つ目の理由は、名称そのものの出来の悪さです。そしてこれが、反対の最大の理由です。
「南セントレア市」なる名称案は、無意味で、悪趣味で、珍妙です。
折しも自治体の合併が相次ぎ、様々な新地名が生まれております。中には首を傾げるような新地名もあります。また、伝統ある地名が失われることを嘆く声は、以前からよく聞かれていることです。私自身四年前にはじめて愛知県を離れ、現在の土地へ移って参りました。旧地名と新地名の話を土地の方に伺うと、地名の変更に関する苦労話や、過去の禍根を聞かされます。それはそれで余所者の自分には新鮮な話なのですが、まさか自分の故郷が、こんな飛び抜けて珍妙な名称案を掲げることになるとは思っていませんでした。
ひょっとしたら「南セントレア市」という案は、合併を前に美浜町・南知多町の知名度を上げるための話題作りの一環でしかなくて(つまりある種の冗談で)、実際にはまともな地名を選んで下さるおつもりなのではないか、とすら夢想したくなります。それほどに、信じ難い名称です。

これも例え話になりますが、齋藤様はじめ協議会の皆様は、何語か分からないような名前を御自分の子や孫にお付けになるのでしょうか。大切な子や孫につける名前ですから、名前として、また日本語として美しいことを前提に、「幸せに育つ様に」と願って熟慮を重ねるのではないでしょうか。まさか「セントレアちゃん」などと名前をお付けになることはないと存じます。一時の流行や話題に飛びついておかしな名前を付けると、のちのち苦労するのは本人です。地名にしても同じことです。「南セントレア市」という名称が現実のこととなれば、市民は行く先々で恥をかくことになるのです。現在は離れた場所に住む私ですが、出身地を人に聞かれたとき「南セントレア市」とは絶対に答えないでしょう。

重ねて申し上げます。「南セントレア市」なる名称案はすでに世間の笑い者になっております。齋藤様はじめ御協議会のメンバーの方々が、皆様の責任において笑い者となる分には、私は一切関知いたしません。しかしながら、美浜町・南知多町に生まれ育ち、また美浜町・南知多町に暮らす人々、またこれから新市に生まれてくる未来の市民までも笑い者にする権利は、皆様にはありません。

どうか御再考頂き、「南セントレア市」なる名称案を撤回下さいますよう、故郷を愛する者の一人として衷心よりお願い申し上げます。

taue.jpg
知多の青き田に夏の訪れ



このエントリーに関するコメントは掲示板の下記のスレッドへお願いします。

カテゴリー「人々の声」コメントスレッド
posted by 故郷は美浜 at 05:27 | TrackBack(0) | 人々の声 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック